老人ホームは公的施設と民間施設の2種類
老人ホームは大きく分けて公的施設と民間施設の2種類に分類されます。また、入居者の身体状況や介護度のほか希望するサービスなどによってさまざまなタイプの施設に分かれます。
一般的な施設の種類や特徴は次の通りです。
公的施設
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(通称:特養)は「要介護3以上の介護認定を受けている方が対象とした介護支援をおこなうため」の施設で、入居施設で要介護1~2のは自治体からの特別な許可がないと入居することができません。
特養はもともと従来型(相部屋などを含む個室部屋タイプ)が主流でしたが、プライバシー保護の観点などから近年はユニット型(全室個室で共用リビングつき)が増えつつあります。
またほとんどの特養では看取り対応を行いますが、看護師の夜間配置が無いため医療ケアが必要な方は入居できない可能性もあります。
低下価格でサービスを受けることができますが、入居希望者が多く1年以上も入居待機となるケースが多いことが実情です。
養護老人ホーム
特別養護老人ホームと名称が似ているため同じ施設だと勘違いしがちですが、養護老人ホームは「経済や生活環境に困っている方を対象とした生活支援をするため」の施設です。
つまり、養護老人ホームは「介護を目的」としたものではなく「養護を目的」とした市区町村の「措置」としての入居施設となります。
介護老人保健施設
介護老人保健施設(通称:老健)は「要介護1以上の介護認定を受けた65歳以上の方を対象とした在宅復帰を目指すリハビリを行うため」の施設です。
老健には医師・看護師・理学療法士(PT)・作業訓練士(OT)などが常駐するため質の高いリハビリを期待できますが、入所期間は原則3~6か月となります。
軽費老人ホーム
軽費老人ホーム(通称:ケアハウス)は「一般(自立)型」と「介護型」の2つに分類されます。
一般(自立)型ケアハウスは「家族の支援を受けることが困難な60歳以上の方が利用」できる個室型の居室で食事や清掃などの生活サービスを受けることができますが、介護サービスが必要な場合は外部の介護事業者との契約となります。
介護型ケアハウスは「要介護1以上の介護認定を受けた65歳以上方が利用」できる個室型の居室で食事や清掃といった生活サービス以外に入浴介助や食事介助などの介護サービスを受けることができます。
※軽費老人ホームはA型・B型・C型・都市型がありますが、2008年から設置基準がC型に統一されためA型・B型は順次建て替えられており現在はC型に統一されています。また、都市部(東京都・神奈川県・大阪府)ではC型よりも設置基準の低い都市型も広がりつつあります。
民間施設
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは「都道府県から特定施設入居者生活介護の指定を受け、食事や清掃など日常生活で必要なサービスのほか、必要に応じて入浴介助や排せつ介助などの介護サービスの提供が法令で義務付けられている」施設です。
そのため、24時間常駐する介護士に加え、ケアマネージャー・看護師・機能訓練士などが常駐し、必要に応じて看護やリハビリのサポートを受けることができます。
入居契約は「前払い金方式」と「月払い方式」の2つのタイプが主流となり、入居者が要介護(支援)認定を受けている場合は「介護サービス契約」が必要となり、原則外部の介護保険サービスを受けることはできません。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは「入居契約に介護サービスは含まれない」ため、居宅支援介護事業所や訪問介護事業所などを併設していることが多くあります。
入居契約は「前払い金方式」と「月払い方式」の2つのタイプが主流となりますが、介護サービスが必要な場合は入居者自身でケアマネージャーにケアプランの作成を依頼し、必要に応じて外部の介護保険サービスを受けることになります。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者住宅は「介護保険法や老人福祉法など管轄する厚生労働省ではなく、国土交通省が管轄する高齢者住まい法(以下、法律)に基づいた自立度の高い高齢者向けの住宅」とう位置づけになります。
法律で定められたサービスは「安否確認」と「生活相談」のみとなっており、食事提供や清掃や介護サービスが必要な場合は外部サービスに依頼することになります。
施設によっては訪問介護事業所やデイサービスなどを併設しているところも多くありますが入居者の必要に応じて外部の介護保険サービス等を受けることになります。
※平成27年4月より「老人ホーム該当サービス付き高齢者向け住宅」は住所地特例対象施設となったことで、サービス付き高齢者住宅であっても①食事の提供、②入浴等の介護、③調理等の家事、④健康の維持増進、⑤その他のいずれかを自らまたは委託で行う場合は有料老人ホームに該当することとなり、高齢者住まい法のほか老人福祉法および指導指針に従った運営を行う施設となります。
グループホーム
グループホームは「認知症と認められ要介護(要支援)認定を受けた方が入居対象」となる施設です。
認知症状の軽減のため住み慣れた地域で生活を続けるため、専門職員のサポートを受けながら共同生活を行います。
原則として、入居者対象者が住民登録している市区町村の施設にしか入居することはできませんが、特例措置によって住民登録の無い市区町村のグループホームに入居できる場合もあります。